【COVID19の巨大な第2波がヨーロッパを襲う】9月〜11月、なぜすごい感染爆発が起こっているのか?

先日、ヨーロッパに新型コロナウイルスの大きい第2波が襲っている件に関して、次の質問をいただいた。

スイス連邦政府の保健局も理由がわかっていたら、第2波が感染爆発する前に抑えたはずだ。

スイスは、10月初旬まで、うまく感染者数をコントロールしているつもりになっていた。しかし、2週間足らずで状況は一変。

10月半ば以降、なぜスイスですごい感染爆発が起こったのか?

専門家たちの見解、スイスに住んでいて思う所を交えて、1住人の視点から考えてみたい。

本記事では、次の順に、20206月~10月後半の「スイスとその他のヨーロッパの国・地域の感染拡大の状況」についてご紹介する。

・スイスは、9月後半、感染者が減ったと思いきや、10月に入り感染者が爆増した !?

・なぜ、9月~10月、ヨーロッパは感染爆発が起こったのか?【スイスの場合】

この記事は、RTS(スイス・ロマンド放送)のサイトを元に作成。

スイスは、9月後半、感染者が減ったと思いきや、10月に入り感染者が爆増した !?

スイスは、9月後半、感染者が減ったと思いきや、10月に入り感染者が爆増した !?

RTSinfo

スイスは、10月初旬まで、1日の新規感染者数550程度で、うまく感染者数をコントロールしているつもりになっていた。ところが、1014日に様相は一転する。

1014日、新規感染者は、2,8081日の新規感染者報告数としては過去最多を記録。

その後、記録は塗り替えられ、16日に3,08721日に5,583を記録した。

3週間弱で10の数に膨れ上がった。

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そして、11月に入り24時間当たりの新規感染者はさらに増え続け、114日に10,043115日に10,098と、過去最多数の記録を塗り替えている。

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11月初旬のスイスは、新型コロナウイルスの感染者数が爆増中。感染者数だけでなく、入院患者数・集中治療の患者数も爆増で、医療崩壊が懸念されている。死者も日に日に増えている。スイスの「10月の感染者推移」は、9月に引き続[…]

【スイス、巨大な第2波はいつ静まるのか?】2020年11月の感染者数の推移【新型コロナウイルス・統計】

ちなみに、スイスの直近14日間の10万人当たりの感染者数は、1022日の時点で、434.9114日に1,120.1に増加。

スイスが指定するレッドゾーン(危険ゾーン)は、過去14日間の10万人当たりの感染者数60だ。

桁違いの数字がさらに増加しているので、スイス連邦政府は、新規の感染者数を減らすのに必死だ。

1018日日曜日、スイス連邦政府は臨時閣議を開いたが、発表内容は経済と公衆衛生の両立を目指すものだった。

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音声で記事内容を聞きたい方は、音声動画でどうぞ。ご紹介の音声動画で、私が見たフランス語の報道を元にお伝えしています。https://youtu.be/NpuDvIuNj6Q ヨーロッパに、新型コロナウイ[…]

【COVID19・第2波、感染者爆増のスイス】2020年10月18日(日)のスイス連邦政府の緊急会議の内容とは?

部分的ロックダウンが秒読みかと思われる中、部分的ロックダウンは決定されていないが、1022日の記者会見では、スイス連邦政府の言葉に切羽詰まっているのが感じられた。

ジャーナリストから経済政策について質問が出ても、1022日の記者会見でAlain Berset(アラン・ベルセ)氏は次のように答えた。

まず感染者数の上昇する曲線を平らにする事が先。経済の補填に関する議論をしている時間はない。その間に感染者数が増加し、被害はさらに大きくなり、高くつく。」

11月6日、スイス・フランス語圏の大半の地域で部分的ロックダウンが導入されている。

なぜ、9月~10月、ヨーロッパは感染爆発が起こったのか?

なぜ、9月~10月、ヨーロッパは感染爆発が起こっているのか?

使用の画像 : Pexels

10月後半の時点で、「ヨーロッパでなぜ感染爆発が起こっているのかわかっていない」と言うのが、様々な報道を見ていて得られる回答だ。スイスの行政の責任者たちは、ジャーナリストに、「いきなり感染爆発している理由」を聞かれても、一様に「わからない」と答えている。

しかし、ネット上で見つかる情報、ジュネーブでの生活を通して見える事を考え合わせると、次のような理由で、9月~11月にヨーロッパで感染爆発が起こっていると考えられる。

6月にスペインで発生した変異体は、感染率が高い。

・変異体は、夏休みにバケーションで移動した人たちにヨーロッパのあちこちに持ち運ばれた。

・ヨーロッパには、対策が遅れたりほとんどしていない地域があった。例えば、5月~8月のヨーロッパは、マスクで対策している人は少なかった。

・密な人口やほと人の移動が多い都市や地域で、さらに感染爆発した。例えば、国境の街は感染爆発が顕著。

次の順に、9月~10月、ヨーロッパは感染爆発が起こっている理由について考えてみたい。

・【David Heymann 氏の第1波の考察】第1波で、アジア諸国と欧州で、なぜ感染拡大の状況に差があったのか?

・感染拡大の初期の段階での迅速で適切な対応がなかったヨーロッパ

10月末のジュネーブの感染状況は、カタストロフ !? 病院は悲鳴を上げている !?

・どこで感染しているのか?【RTS(スイス・ロマンド放送協会)の報告】

・ヨーロッパで猛威を振るい巨大な第2波を起こしている正体は、6月にスペインで発生した変異体 !?

5月・6月のロックダウン緩和の以降、コロナウイルス危機前と同じ生活になってしまった人が多かったのではないか?

・「新型コロナウイルス対策」の措置をこまめに延長・変更し、104日ぐらいまで1桁代を保っていたイタリア語圏ティチーノ州も、感染爆発と言うことは?

10月半ば以降のスイス・フランス語圏の行政や市民の状況は? 

【David Heymann 氏の第1波の考察】1波で、アジア諸国と欧州で、なぜ感染拡大の状況に差があったのか?

【David Heymann 氏の第1波の考察】第1波で、アジア諸国と欧州で、なぜ感染拡大の状況に差があったのか?

使用の画像 : Pexels

朝日新聞のウェブ記事で世界保健機関WHO)でエイズ・エボラ出血熱SARS・ポリオなどの専門家チームを率いる David Heymann 氏の考察が紹介されていた。

1波で、アジア諸国と欧州で、なぜ感染拡大の状況に差があったのか、いくつか引用・ご紹介する。

・アジアの国々の多くは、200203年にSARSの大規模な感染拡大を経験し、病院のベッド数・人工呼吸器が増やされており、病院へのアクセスが常に確保されていた。

・香港や韓国などは、感染者追跡ができていて、市中感染が最小限に抑えられた。

・アジアには、マスクをする習慣手洗いをよくする習慣がある。

1波では、病院の受け入れ能力が低く、社会の年齢構成が高い地域で、死者が多く出た。

例えば北イタリアだ。

若者と高齢者が一緒に暮らす生活スタイルも、被害が広がるきっかけになった。
朝日新聞デジタル

 新型コロナウイルスの感染は、ある国や地域で爆発的に広がり、他の場所では抑え込まれつつある。偶然の結果ではなく、それぞれ…

感染拡大の初期の段階での迅速で適切な対応がなかったヨーロッパ

感染拡大の初期の段階での迅速で適切な対応がなかったヨーロッパ

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ご紹介の写真は、台湾。台湾は、200日間新規感染者がないそうだ。

Bloomberg.com

世界で新型コロナウイルス感染症(COVID19)が再び猛威を振るい、新規感染者が過去最多を更新する国が多い中で、台湾は異…

感染者が出始めた初期の段階での迅速で適切な対応が、広範囲で大規模の感染拡大に繋がらなかったと見る方もいる。

初動の国境閉鎖、PCR検査拡充、マスク配布などの初期の迅速な対応は、ヨーロッパではなかった。拡大してきてからだ。

スイスもある程度、感染拡大してから措置を導入する「後出しジャンケン方式」だ。

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スイスは、「新型コロナウイルス」の感染者が出始めると、ようやく「マスク・人数制限・客の連絡先リスト」などの対策を始める。なので、感染者がほとんどいない所・少ない所では、対策はされていない。スイスでは、政策として導入されていなくても、[…]

10月に入り23週間で爆発した第2波に、スイス政府は適切に対処していると言っていたが、114日、「ヨーロッパの14日間の10万人あたりの感染者数リスト」の上位にスイス・フランス語圏がランクイン。

10月末のジュネーブの感染状況は、カタストロフ !? 病院は悲鳴を上げている !?

10月末のジュネーブの感染状況は、カタストロフ !? 病院は悲鳴を上げている !?

RTSinfo

ご紹介のグラフは、スイスの「1日ごとの新型コロナウイルスの新規の入院患者数」だ。

11月5日、スイス・フランス語圏は病院がパンク状態かパンク状態に向かっている。

スイス・ドイツ語圏の病院は、約3分の1は空いているが、スイス・フランス語圏に協力的でないので、スイス連邦政府の保健行政を受け持つ Alain Berset(アラン・ベルセ)内務相は、声を荒げた。

1027日、スイスのジュネーブの新聞 Tribune de Genève は、次のように伝えた。

1波の経験、援助、治療法の進歩にもかかわらず、HUG(ジュネーブ大学病院)は、専門家やボランティアを求める祈りをする所にまできてしまっている

入院患者、特に重症患者が非常に急増している中でのこの無力さを認めたことは、ジュネーブ州の新型コロナウイルスの実情に、警鐘を鳴らすべきである。

新型コロナウイルスで人が死に、集中治療が割れ、治療を受ける患者と運命に見放される患者を選別しなければならないのではないかとHUG(ジュネーブ大学病院)は危惧している。

記事は、市民が自主的に移動・人との接触を減らす事をするか、通常の生活を続けて行政の措置を待つか、読者に問を投げかけている。

疑問に思うのは、3月以降、ジュネーブ州はどのぐらい効果的な対策をしたのだろうか?

1027日、HUG(ジュネーブ大学病院)は、悲鳴を上げているのだ。

スイスが危機対策をわざと怠るとは思えないので、RTS(スイス・ロマンド放送協会)の報告を見てみる。

どこで感染しているのか?【RTS(スイス・ロマンド放送協会)の報告】

どこで感染しているのか?【RTS(スイス・ロマンド放送協会)の報告】

使用の画像 : Pexels

RTS(スイス・ロマンド放送協会)によると、家族、同居人、プライベートの集まりでの感染が報告されているが、実際は、どこで感染したかわからないケースが非常に多い

rts.ch

Où les Suisses se contaminent-ils au Covid-19? Le cercle fam…

Twitter でも、ヨーロッパ在住の方の次のようなツブヤキを見かけた。

「かなり気をつけていたのに感染した。どこで感染したか思いつかない。」

ジュネーブでは、112日からレストランや商店などの部分的ロックダウンを導入しているが、義務教育は、マスク着用と1.5メートルの対人距離の措置で学校で授業が行われている。

13歳の中学生は次のように、学校の状況と自身の考えを話してくれた。

若い年代は重症化しにくいし、感染性していても症状が出なかったり軽くて気がつかないと思う。家で両親や祖父母に感染させる事は想像がつく。第一、1.5メートルの対人距離は場面によっては全然守れていない。」

他にも、知り合いの家に来ているベビーシッターさんの旦那さんが感染したが、どこで感染したのかわからないとの事だった。ベビーシッターさん自身も陽性になってしまった。自宅隔離期間を経て、知り合いの家でのベビーシッターの仕事に復帰したらしいが、ベビーシッターさんご夫婦には小学生の子どもがいる。小学校でどのぐらい対策が取られ、効果があるのか疑問だ。

フランスは6歳以上が学校でマスク義務になったが、スイスは中学生以上が授業中もマスク義務だ。

Le Monde.fr

Agnès Pargade, pédopsychiatre, estime que le port du masque …

ヨーロッパは感染者追跡ができてないから、衛生面・マスク・対人距離で対処しようとしたが、感染者爆増は止まらず、夜間外出禁止・部分的ロックダウンに踏み切る地域が増えている状況だ。

なぜ、衛生面・マスク・対人距離で対処しようとしているのに、感染者爆増は止まらないのか?

ヨーロッパで猛威を振るい巨大な第2波を起こしている正体は、6月にスペインで発生した変異体 !?

ヨーロッパで猛威を振るい巨大な第2波を起こしている正体は、6月にスペインで発生した変異体 !?

使用の画像 : Pexels

ヨーロッパで猛威を振るい巨大な第2波を起こしている正体は、6月にスペインで発生した変異体で、夏休みにバケーションで移動した人たちがヨーロッパのあちこちに持ち運んだと考えられている。

気になるのは、スーパー・スプレッディング現象という言葉。

Wikipedia によると、次のような説明がある。

感染症を引き起こす病原体に感染したホストのうち、通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす者。

感染者が他人に感染させる率は、全員同じではない。通常考えられる以上の二次感染例を引き起こす者が、人々の集まりにいたらたくさんの人を感染させる。

スーパー・スプレッダーがいたら、今まで感染者数が少なくコントロール下にある地域でも、あっという間に感染爆発になる事は想像がつく。

スーパー・スプレッディング現象は、人々の移動や接触が少なければリスクは軽減されるはずだが、移動や接触が少ない社会生活を送る事は非常に難しい。

せめて、マスク着用・手洗い・対人距離で対処するし続けるしかなさそうだと思うが、第1波が静まったあとのヨーロッパでの人々の行動は、新型コロナウイルスがなくなったかのようだった。

5月・6月のロックダウン緩和の時期以降、「コロナウイルス危機前と同じ生活」になってしまった人が多かったからではないか?

5月・6月のロックダウン緩和の時期以降、「コロナウイルス危機前と同じ生活」になってしまった人が多かったからではないか?

使用の画像 : RiyoBlog

ヨーロッパでは、第1波の後、スーパー・スプレッディング現象を考慮しないで、ロックダウン解除が行われ、市民は感染拡大前の生活に戻ってしまった人が多かった。

私は、6月末から7月の初めにかけて、一度収まった新規感染者数が再び報告され始めた時、「やっぱり」と思った。

5月末~6月末のロックダウン緩和の時期、乗り物・店内での「マスク着用」をしている人が、4月に比べとても少なかったのだ。

特に、暑くなってくる6月は、夏休みを楽しむ空気があり、ジュネーブの街でマスクをしている人はかなり少なかった。

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5月末のスイスでは、ロックダウン解除に向かって、みんなルンルンだった。4月末にロックダウン緩和が始まり、街も活気付いて来ていたし。しかし7月後半になり、5月~7月の街での行動を思い返すと、私たちは「愚かな誤り」をしていた。乗[…]

5月末~6月末のロックダウン緩和の時期は、マスクをしたら、病気を怖がり過ぎのおかしな人と見られた。

ヨーロッパ人である私のパートナーは、案の定マスク姿を嫌がり、「変な人だと思われるからマスクを外して」と言ってきた。

しかし、6月半ばにチューリッヒで感染者が出始め、2週間ぐらいしてジュネーブでも感染者が出始め、ジュネーブ州では、7月末に、商業施設におけるマスクの着用が義務化された。

新型コロナウイルスは、第1波の3月から、第2波・第3波と続く事がわかっていた。

感染拡大の波が一時的に引いた後、油断して新型コロナウイルスがなくなったかのように振る舞ったのは、第2波をおびき寄せてしまったのではないか?

8月に、ドイツからスイスのグリンデルワルトとツェルマットに訪れたやまえりさんが、スイスは「新型コロナウイルス対策」をしてないと驚く事となる。

グリンデルワルトとツェルマットは住民数が少なく、観光客が多い所だ。

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1波で被害が少なかったドイツ語圏は、8月・9月「新型コロナウイルス対策」をほとんどしなかったか、すごくゆるいものだったのだろう。

「新型コロナウイルス対策」の措置をこまめに延長・変更し、104日ぐらいまで1桁代を保っていたイタリア語圏ティチーノ州も、感染爆発と言うことは?

「新型コロナウイルス対策」の措置をこまめに延長・変更し、10月4日ぐらいまで1桁代を保っていたイタリア語圏ティチーノ州も、感染爆発と言うことは?

スイス連邦政府保健局

8月・9月、スイス・ドイツ語圏は対策が緩かったとは言え、1波で甚大な被害を被ったイタリア語圏ティチーノ州は、1日当たりの新規感染者が1桁でも、「新型コロナウイルス対策」の措置をこまめに延長・変更し、104日ぐらいまで1桁代を保っていた

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2020年10月8日、在ジュネーブ領事事務所から次のお知らせが来た。スイス・ティチーノ州政府は、10月9日から「新型コロナウイルス感染症の対策措置」を強化する。数日前に「イタリアは感染の第2波を抑え込んでいる」と書いたのだが、イ[…]

しかし、ティチーノ州も第2波に飲み込まれてしまい、1019日には1日当たりの新規感染者252が報告されている。

つまり、感染拡大の波が来てしまえば、ティチーノ州の措置では「新型コロナウイルス」に太刀打ちできないと言うことだ。

ティチーノ州が108日に発表した措置は、次の通りだ。

・公共の場における30人を超える集会の禁止。

・ディスコ、ダンスホール、クラブの閉鎖。

・全ての飲食店では、席が配置されたテーブルに着いている場合にのみ、飲食が認められる。

・顧客の人定情報の収集義務。(ただし、テーブル当たり最低1名。)

・店舗およびショッピングセンターにおいて、顧客のマスク着用を義務付け。

12歳までの子供、診断書による医師の指示など特別な事情によりマスクを着用できない人については、このマスク着用義務は免除される。)

・責任者は、手の消毒剤を利用できるようにする。 

・公に開かれた閉鎖空間や、同じ世帯に属していない人が乗車する私用車の車内のような、物理的な距離を維持できないあらゆる状況においては、マスクの着用を強く推奨する。

・イベントにつき、開催期間中およびその前後において、参加者の接触が生じうる場合には、社会的距離を遵守、あるいはマスクを常時着用しなければならない。

スーパー・スプレッダーがいたら、マスク・手洗い・対人距離に気をつけるだけではダメなのだろう。

ケンブリッジ大学の研究チームは、ロックダウンとマスク着用率100%を組み合わせた場合、初期の流行ペースが劇的に緩和されると主張している。

GIGAZINE

日本では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として早期から「マスク」が着目されていましたが、世界的にその効果…

経済的な打撃が大きいから、スイス連邦政府は部分的ロックダウン(半都市封鎖)を避けようとした。

しかし、感染拡大を抑えるためには、自宅や自分の部屋以外でのマスク着用と部分的ロックダウン(半都市封鎖)を組み合わせる他ないのかも知れない。

10月半ば以降のスイス・フランス語圏の行政や市民の状況は? 

10月半ば以降のスイス・フランス語圏の行政や市民の状況は? 

使用の画像 : RiyoBlog

ご紹介の画像は、10月のジュネーブの庶民的デパートの上にあるレストランの入り口だ。

次々、措置が出される中、お店側も対策をしていたが、ジュネーブ州は11月2日19時から部分的ロックダウンが導入され、レストランやアパレル関係は閉業。

経済と市民の健康の両立を目指すと言っていたスイスだが、11月5日現在、ジュラ州、ジュネーブ州、フリブール州、ヴォー州でレストランや商店を閉めるなどの部分的ロックダウンが導入されている。ヴァレー州も11月6日22時から。
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いつからレストランが開く?【スイス西部各州のレストランの営業再開・2020年11月25日発表】

スイス・フランス語圏の大半の地域で部分的ロックダウンが導入されているが、部分的ロックダウンの直前の様子や第1波以降の様子をお伝えする。

10月後半、RTS(スイスロマンド放送協会)のジャーナリストに「感染爆発している理由」を聞かれて、ヴォー州政府の評議員は、「フランス語圏でなく、今やドイツ語圏も感染爆発している。国全体の問題だ。」と答えていた。

各州の代表者たちと連邦政府の評議員たちは、お互いに責任のなすりつけ合いをしているようにも見える。

スイスで一番感染爆発しているヴァレー州の州議会の Frédéric Favre(フレデリック・ファーヴル)氏は、RTS のインタビューで次のように答えている。

「我々は、ラテン民族的だからか、人に会うのが好きだからか、物理的な対策がキチンとされていなかったか

ヴァレー州は、1日当たりの新規感染者が、104日ごろまで16前後だったのが、1019日に509

1ヶ月半ぐらい前にヴァレー州に訪れた方によると、レストランの従業員はマスクをしていなかったそうだ。ヴァレー州は、住民の人口は、約35万人とそれほど多くないが、観光客が多い。

ヴァレー州の住民は、都会の人たちより、現在、行政が掲げる次の「新型コロナウイルス対策」をしてなかったようだ。

・マスクをつける。

・対人距離を取る。

・手をよく洗う。

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記事を聞きたい方は、音声動画かポッドキャストからどうぞ。https://youtu.be/4uVgCyt10iA2020年10月21日、大阪府ほどの人口のスイスは、1日の新規感染者5583人と過去最多数を記録。スイス連邦政府[…]

【感染者爆増のスイス・ヴァレー州】10月21日、新たな措置発表【ヴァレー州の新たな措置と感染状況】

同じ問題は、スイス・フランス語圏の60万人ほどの人口があるジュネーブ州でも、似たり寄ったりじゃないかと、私は思っている。

ジュネーブ州は、新型コロナウイルス伝播のリスクがある地域だ。

ジュネーブ州には、国際都市ジュネーブがあり、外国人が人口の約60%を占め、イタリア系・フランス系・ポルトガル系のスイス人が多い。

週末やバケーションにイタリアやスペインやポルトガルに出かける人が多数いる。

そして、ジュネーブはフランスと隣接していて、通勤・私生活などで国境を越える人々も多い。

新型コロナウイルス伝播のリスクがあり、第1波で被害の大きかったジュネーブ州は、早々と7月末にクラブ・ディスコの閉鎖や、商業施設におけるマスクの着用義務の決定をし、対策をしていた。

ご紹介の記事では、クラブ・ディスコの閉鎖について。

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次の記事では、7月末の商業施設におけるマスクの着用が義務化について。

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次の記事では、ジュネーブ州の措置は感染者数を下げられているか2020101日、同政府が COVID19 対策の延長を決定した事を受けて、私なりの見解を述べた。

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8月17日、ジュネーブ州政府は、「新型コロナウイルス感染症の対策」の追加的な措置や、これまでの措置の延長などを決定している。[sitecard subtitle=関連記事 url=https://riyoblog.com/august-[…]

次の記事では、1023日に発表されたジュネーブ州政府発表の措置についてだ。

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【10月23日・ジュネーブ州政府発表の措置】ジュネーブ州は、感染爆発を抑えられるのか?【COVID19 対策】

ジュネーブ州は、それなりに頑張ってはいるが、人々が今までの生活習慣を変えるのは難しく、「新型コロナウイルス対策」に疲れてきている人やイヤになっている人が多い

今までの生活習慣とは、マスクをしない・人が集まる・手洗いをあまりしない3点だ。

今まで、マスクをする習慣がなく、人が集まるのが好きで、手洗いもどちらかと言うとおろそかだった人たちが、行政から措置が出ても、適切に行えるとは限らない。

手洗いは、子どもの時からの習慣だが、ヨーロッパには手洗いをキチンとしない人が多かった

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そして、マスク着用を忌み嫌う国が多かった。新型コロナウイルスが中国で流行り始めた202012月~1月ごろ、オーストリアはマスク着用禁止で、マスクをしているアジア系の旅行客に、「オーストリアはマスク着用禁止だ」と教えてあげる日本人の方もいたほどだ。

私はヨーロッパに住んで20年弱になるので、人々がマスクを嫌うのを知っている。

しかし、7月末に、湖を横切るジュネーブ公共交通の船に乗る時に、マスクをしていたら自分が不審者に思われるかもと危惧し、マスクを外したら、「マスクをしろ」と船の操縦士に怒られた。

ジュネーブ公共交通の船の操縦士は、黒いサングラスにマスクで、全く顔の表情がわからなく、ちょっと不気味な感じがした。

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こんなに短期間でマスク着用が根付くとはと、驚いたが、やはり全体としては息苦しいなどマスクを嫌う人が多い

次の記事で、市民に責任を委ねる「新型コロナウイルス対策」がうまくいかないだろうと思われるジュネーブ市民の最近の言動をご紹介している。

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【10月23日・ジュネーブ州政府発表の措置】ジュネーブ州は、感染爆発を抑えられるのか?【COVID19 対策】

ジュネーブには、10月末、マスクをしないで大口を開けて豪快に笑うケーキ屋さんの店主もいた。

マスク着用・対人距離と人が集まらない事・手洗いを義務や推奨する措置を導入してもうまくいかなかった場合、部分的ロックダウンと経済的解決に目を向けるしかない。

経済と市民の健康の両立を目指すと言っていたスイスだが、115日現在、ジュラ州、ジュネーブ州、フリブール州、ヴォー州でレストランや商店を閉めるなどの部分的ロックダウンが導入されている。ヴァレー州も116日から導入だ。

部分的ロックダウンかロックダウンが必要だと思う理由は、スイスやベルギーでは、マスクもしているし措置を守っているはずなのに、感染爆発を起こしているからだ。

感染拡大が起こっている地域の特徴に、人口密度が高い地域国境など人々の移動が多い地域だと言う指摘がある。

都市構造社会構造財政計画も変わらないと、危機は乗り越えられないのかも知れない。

まとめ

【COVID19の巨大な第2波がヨーロッパを襲う】9月〜11月、なぜすごい感染爆発が起こっているのか?

使用の画像 : Pexels

本記事では、下記の順に、20206月~10月後半の「スイスとその他のヨーロッパの国・地域の感染拡大の状況」についてご紹介した。

・スイスは、9月後半、感染者が減ったと思いきや、10月に入り感染者が爆増した !?

・なぜ、9月~10月、ヨーロッパは感染爆発が起こったのか?【スイスの場合】

次のような理由で、9月~11月にヨーロッパで感染爆発が起こっていると考えられるとお伝えした。

6月にスペインで発生した変異体は、感染率が高い。

・変異体は、夏休みにバケーションで移動した人たちにヨーロッパのあちこちに持ち運ばれた。

・ヨーロッパには、対策が遅れたりほとんどしていない地域があった。例えば、5月~8月のヨーロッパは、マスクで対策している人は少なかった。

・密な人口やほと人の移動が多い都市や地域で、さらに感染爆発した。例えば、国境の街は感染爆発が顕著。

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この記事は、在ジュネーブ領事事務所からいただいた情報とジュネーブ州政府のサイトを元に作成。7月27日、在ジュネーブ領事事務所から次のお知らせを受けた。ジュネーブ州では、7月28日午前8時から、商業施設におけるマスクの着用が義務化[…]

【COVID19の巨大な第2波がヨーロッパを襲う】9月〜11月、なぜすごい感染爆発が起こっているのか?
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