Twitterで次のような声が聞こえてきたので、スイスの新型コロナウイルス対策の措置と感染者数推移についてカンタンにご紹介する。
やはり下ってきたのですね。他のヨーロッパの多くの国が上昇傾向なのに。そして、たいした対策もしてないのに、という話が聞こえてきました。何か対策されました?
— mm (@tyonarock) November 15, 2020
スイス連邦内務省保健庁の10月21日の発表によると、20日からの新規感染者は、5583人と過去最多数を記録。
スイス連邦政府は、10月28日に新たな措置を導入する旨、21日の時点で声明を出していた。
記事を聞きたい方は、音声動画かポッドキャストからどうぞ。https://youtu.be/bT64hPAwxkoスイス連邦内務省保健庁の10月21日の発表によると、20日からの新規感染者は、5583人と過去最多数を記録。[…]
10月28日、1日の新規感染者数、8,593人を記録。
10月28日のスイス連邦政府の新たな措置の発表から8日後の11月5日、過去最多の新規感染者10,098人を記録。
スイスは、感染者数を下げる事はできているのか?感染爆発の中、どんな方法で感染者数を下げられるのか?
ヨーロッパの感染率のランキングでは、ヨーロッパ随一の感染率のジュネーブ州を筆頭に、スイス・フランス語圏が続く。
ちなみに、11月13日の時点でヨーロッパの感染率が高い地域の上位はフランスではない。スイスのフランス語圏だ。
詳しくはポッドキャストでお伝えしている。
次の順に、10月28日、スイス連邦政府発表の「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるためのスイス国内全土における更なる措置」、感染者推移、各州政府の措置をご紹介する。
・10月28日、スイス連邦政府が発表した「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」とは?
・10月28日以降の感染者推移は?10月28日発表の新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」は効果があるのか?
・スイスで感染爆発が続く中、各州政府はどのような独自措置を取ったのか?
10月28日、スイス連邦政府が発表した「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」とは?
10月28日、スイス連邦政府は、新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるためのスイス国内全土における更なる措置について、閣議決定の上、発表した。
1. ナイトクラブの閉鎖など
(1)ディスコ・ナイトクラブの営業が禁止。
(2)レストラン・バーにおいて、子供連れの家族を除き、1テーブル当たりの着席人数が4人までに制限。午後11時から午前6時までの営業が禁止される。
ジュネーブ州は7月末から閉業だ。
次の記事で、7月31日にジュネーブ州がディスコ・ナイトクラブの営業禁止の措置を導入した事もご紹介している。
本記事は、8月2日日曜日付け、RTS Info (スイスロマンド放送協会)の記事とスイス連邦内務省保健庁のサイトを元に作成。クラブ・ディスコの新型コロナウイルスの感染が多いと報告されていて、ジュネーブ州では、7月31日からクラブ・デ[…]
8月頃、パートナーが土曜の夜ジュネーブのクラブに行ったら、ダンス禁止でテーブルに着席して飲み物を頼める形式になっていたそうだ。
2. 参加者が50人を超えるイベントの禁止など
(1)参加者が50人を超えるイベントの実施が禁止。議会・自治体の集会を除き、全てのスポーツ・文化・その他のイベントに適用される。
(2)政治的なデモ並びにレファレンダムやイニシアチブに関する署名活動は、必要な感染防止措置を講じた上で引き続き実施可能。
(3)家族・友人同士の私的イベントは、参加者の人数が10人までに制限。
3. 参加者が15人を超えるスポーツ文化的な余暇活動の禁止など
(1)屋内のスポーツや文化的な余暇活動は、社会的距離の確保とマスク着用を条件とし、参加者が15人までの場合に実施が可能。
屋内テニス場、体育館など、参加者数に対し十分なスペースがある場合は、マスク着用義務の対象外となる。
(2)屋外における活動は、社会的距離の確保の遵守のみが義務付けられる。
(3)身体的接触を伴うスポーツは、禁止。
(4)職業上のスポーツや文化的活動のトレーニング、競技、リハーサル、公演は許可される。
(5)アマチュア合唱団による活動は、歌唱時に大量の飛沫が出ることに鑑み禁止される。
(6)16歳未満の子供は、対象外となる。
4. 高等教育機関における対面授業の禁止
(1)高等教育機関においては、11月2日(月)以降、遠隔授業に切り替えられる。
(2)義務教育学校・後期中等教育機関(ギムナジウムと職業訓練学校)における対面授業は、引き続き許可される。
5. マスク着用義務の拡大
(1)店舗、イベント会場、レストラン、バー、青空市場、クリスマスマーケットなど、公共施設、店舗の屋外エリアにおいても、マスク着用が義務付けられる。
(2)混雑した歩行者エリア、その他必要な社会的距離を確保できないあらゆる場所において、マスク着用が義務付けられる。
(3)後期中等教育(Sekundarestufe II)以降の教育機関において、マスク着用が義務付けられる。
(4)職場において、個室などのオフィスを除き社会的距離を確保できない場合、マスク着用が義務付けられる。
(5)雇用主は、可能な限りホームオフィスを導入し、職場における従業員の保護を確保しなければならない。
(6)12歳未満の子供、医療上の理由でマスクを着用できない人、レストラン・バーにおけるテーブルでの着席時は、マスク着用義務の対象外となる。
ジュネーブ州の中学校では授業中も、マスク着用だ。
とは言え、マスク着用が乗り物の中で義務だからマスクをしていない人はかなり少ないものの、やはり鼻出しマスク、アゴマスクを見かける。
#ジュネーブ
バスの中、背後でセキする音聞こえたので、チラッと見たら、
アゴマスク😨
逃げた。
日曜の朝のトラムはこんな感じ。 pic.twitter.com/YeEkbHS6sS— Riyo🤲🏻国際都市ジュネーブから🌍 (@KojimaRiyo) November 15, 2020
6. 迅速な検査の導入
従来の PCR 検査に加え、11月2日(月)以降、迅速な判定を可能とする抗原検査が導入される。
ただし、PCR 検査に比べて正確性が劣ることから、以下の者が対象となります。抗原検査で陽性となった者は、PCR 検査を受けるとともに、直ちに自己隔離を行わなければならない。
・連邦保健庁の基準(4日以内に感染疑いの症状が出現)に合致し、かつ、高リスクグループに属さない者
・SWISS COVIDアプリの通知を受けた無症状の者
迅速な抗原検査の費用は、連邦政府によって支払われるが、連邦保健庁の基準を満たす人のみが対象となる。
7. スイス入国時の自主検疫基準の改定など
(1)10月29日(木)以降、スイス入国時に自主検疫の対象となる国・地域について、スイスにおける感染者増加数が欧州の周辺国の平均値を上回る状況を踏まえ、基準値(これまでは、過去14日間における人口10万人当たりの感染者増加数60以上)を改訂し、当該数値がスイスの数値よりも60以上上回る国・地域が対象となる。
(2)ビジネス目的または医療上の理由によるスイス入国者に対する例外規定も改定され、滞在日数の上限(現行は5日間)が撤廃される。
ジュネーブより感染率が高い地域はあるのだろうか、と思ってしまう。
8. 適用日
2020年10月29日(木)以降、現時点で無期限
(高等教育機関における対面授業の禁止と抗原検査の導入は11月2日(月)以降)
9. 10月28日、スイス連邦政府が発表した「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」についてのスイス連邦政府発表のリンク
スイス連邦政府発表(ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語)
https://www.admin.ch/gov/de/start/dokumentation/medienmitteilungen.msg-id-80882.html
10月18日:スイス政府発表全国的追加措置
10月28日以降の感染者推移は?10月28日発表の新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」は効果があるのか?
10月28日に「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」を導入しても、すぐ新規感染者数が減るわけではない。
10月29日は9,361人、1日の新規感染者報告数としては過去最多を記録。
スイス連邦政府の措置は、強力な行動制限はなく、どのぐらい感染爆発を抑えるのに効果があったのか、わからない。
しかし10月末から、各州政府が部分的ロックダウンなどの独自の追加措置を取り、感染爆発を抑えようとしている。
11月6日の数字を見ると、感染拡大のピークを過ぎたのではないだろうか?
9月23日ごろまで半袖で出かけられたスイスのジュネーブも、秋本番。9月27日日曜日の夕方は、かなり温度が下がった。#ジュネーブ街を行き交う人の装いが、いきなり冬っぽくなった。 pic.twitter.com/LkLvK1[…]
11月4日と5日は、24時間に1万人以上新規感染者を記録したが、11月10日には、5,935人に減少している。
11月11日は、8,238人。10月28日の8,593人より少し少ない数字だ。
新規感染者数は減少の傾向にある。
問題は、死者数と陽性率が依然として増加の傾向にある事だ。
11月初旬のスイスは、新型コロナウイルスの感染者数が爆増中。感染者数だけでなく、入院患者数・集中治療の患者数も爆増で、医療崩壊が懸念されている。死者も日に日に増えている。スイスの「10月の感染者推移」は、9月に引き続[…]
新規感染者は減り始めたが、各州政府の独自の措置があったのも作用しているだろう。
スイスで感染爆発が続く中、各州政府はどのような独自措置を取ったのか?
スイスは、地方自治制度の国なので、各州政府は独自措置を導入している。
ほとんどの地域では、10月28日にスイス連邦政府が発表した「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」と、各州政府の措置が2つある。
各州政府の措置は、スイス連邦政府の措置よりもより厳しい。
ドイツ語圏は、厳しい措置が取られている所は少ないが、フランス語圏は、部分的ロックダウンを導入している州が多い。
フランス語圏の州は、ジュネーブ州、ヴォー州、ヴァレー州、ヌーシャテル州、ジュラ州、フリブール州だ。
しかし、フランス語圏全体が一括して同じ措置が取られているわけではなく、ややこしい。
例えば、ジュネーブ州では飲食店とアパレル関係は閉業だが、ヴォー州ではアパレルは営業している。
28日前後に導入された各州政府の措置の発表日、州名、在スイス日本国大使館発表・在ジュネーブ領事事務所のリンクをご紹介する。
在スイス日本国大使館・在ジュネーブ領事事務所発表のリンクから、各州政府の措置の内容が見られる。
フランス語圏の州は赤字にした。
10月23日、ベルン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106966.pdf
10月23日、ルツェルン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106967.pdf
10月23日、バーゼル・シュタット準州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106969.pdf
10月23日、バーゼル・ラント準州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106970.pdf
10月23日、フリブール州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106878.pdf
10月23日、ヌーシャテル州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106879.pdf
10月23日、ジュラ州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106881.pdf
10月23日、ソロトゥルン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100106882.pdf
10月25日、アッペンツェル・アウサーローデン準州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100107364.pdf
10月25日、ザンクトガレン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100107365.pdf
10月25日、シュヴィーツ州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100107366.pdf
10月26日、ソロトゥルン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100108205.pdf
10月29日、ソロトゥルン州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100109949.pdf
10月30日、ヌーシャテル州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100110097.pdf
10月30日、ジュラ州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100110091.pdf
10月30日、オプヴァルデン準州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100110089.pdf
11月1日、ジュネーブ州
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=101068
11月2日、ヌーシャテル州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100111526.pdf
11月3日、ヴォー州
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=101244
11月3日、フリブール州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100111641.pdf
11月3日、ウーリ州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100111640.pdf
11月3日、ニトヴァルデン準州
https://www.ch.emb-japan.go.jp/files/100111639.pdf
11月4日、ヴァレー州
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=101274
11月8日、ティチーノ州
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=101489
11月10日、ティチーノ州
https://www.anzen.mofa.go.jp/od/ryojiMailDetail.html?keyCd=101651
11月10日、バーゼル・ラント準州
感染率が高い州の「独自の措置」や「感染者推移」やジャーナリストの意見は、別の記事でご紹介する予定だ。
まとめ
使用の画像 : RiyoBlog
下記の順に、10月28日、スイス連邦政府発表の「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるためのスイス国内全土における更なる措置」、感染者推移、各州政府の措置をご紹介した。
・10月28日、スイス連邦政府が発表した「新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」とは?
・10月28日以降の感染者推移は?10月28日発表の新型コロナウイルス感染症の流行を封じ込めるための更なる措置」は効果があるのか?
・スイスで感染爆発が続く中、各州政府はどのような独自措置を取ったのか?
スイス連邦政府の措置だけでなく、各州政府もそれぞれ措置をとっており、様々な要因が感染者数に反映されている。
11月上旬、ヨーロッパの感染率のランキングでは、ヨーロッパ随一の感染率のジュネーブ州を筆頭に、スイス・フランス語圏が続いている。
スイス・フランス語圏の州では、レストラン・バーの閉業などの部分的なロックダウンの措置が10月後半以降に導入されている。部分的なロックダウンの措置は、11月29日までだ。
ヨーロッパでの感染率のランキングで、スイス・フランス語圏の州が上位1位から5位を閉めてしまっているものの、11月13日の時点で、減少の傾向にある。
先日、ヨーロッパに新型コロナウイルスの大きい第2波が襲っている件に関して、次の質問をいただいた。スイスは皆さんマスクするのですね。でも、ヨーロッパはどうして一気に感染爆発してるのですか?夏休み効果なのですか?— mm (@t[…]
2020年11月は、スイスにとって悪夢のような数週間だった。大阪府ほどの人口のスイスで、1日あたりの新規感染者数1万人超えを記録し、ジュネーブ州がヨーロッパで一番感染率が高い地域となった。#スイス #COVID19家族以外は[…]