なので、感染者がほとんどいない所・少ない所では、対策はされていない。
ご紹介の記事は、8月上旬に、ドイツ在住のやまえりさんがスイスのグリンデルワルトとツェルマットを旅行した際のレポートだ。「新型コロナウイルス対策」がほぼされていないのがわかる。
8月末は、フランスやスペインやドイツでも感染者が増えていて、フランスの首都・パリは、市全域で屋内・屋外の公共空間で「マスク着用義務」の政策を導入。しかし、スイスにはない。
とは言え、8月後半、スイスの各州政府が次々と「独自の措置」を発表し出した。
「独自の措置」の共通点は、次の通りだ。
マスク以外のポイントは、次の2つだ。政策に入れている州も入れていない州もある。
・店舗・レストラン・美術館などにおける入場者数の制限
・飲食店における連絡先リストの作成
「客の連絡先リストの作成」は、チューリッヒ州の政策だ。
目を引いたのは、バーゼル・シュタット準州のマスク着用の義務。
本記事では、次の順に、2020年8月末の「スイス各州政府による独自措置の公式発表」と「各州の感染状況」をカンタンにご紹介する。
・8月19日発表、8月21日~9月30日までのヌーシャテル州の独自措置
・8月20日発表、8月24日~12月31日までのバーゼル・シュタット準州の独自措置
・8月24日発表、8月27日~9月30日までのチューリッヒ州の独自措置
・8月26日発表、8月28日導入のフリブール州の独自措置
・8月28日発表、9月3日導入のソロトゥルン州の独自措置
・ヌーシャテル州、バーゼル・シュタット準州、チューリッヒ州、フリブール州、ソロトゥルン州各州の感染状況は?
・7月末に早々と「独自の特別措置」を取ったジュネーブ州の状況は?
この記事は、連日、在スイス日本国大使館から届く情報とスイス連邦政府のサイトを元に作成。
8月19日発表、8月21日~9月30日までのヌーシャテル州の独自措置
使用の画像 : Pexels
8月19日、ヌーシャテル州が発表した「新型コロナウイルス感染症予防の独自措置」は、次の通りだ。
1. マスク着用義務 : 10人を超える収容能力がある店舗内において(従業員を含め)、マスク着用が義務化される。
2. マスク着用推奨 : 明示的に義務付けられていない閉鎖空間にある全て公共場所において、マスク着用が強く推奨される。
3. 入場制限
(1) 店舗および美術館における入場者数は、床面積8平方メートルあたり1人に制限される。
(2) 立食形式によるサービスを提供するバー・レストラン・パブ・ナイトクラブ・ダンスホール・ディスコなどは、同時に入店できる人数が100人までに制限される。
4. 適用期間
2020年8月21日(金)~同年9月30日(水)まで
ヌーシャテル州政府は、マスク着用有無にかかわらず、個人における社会的距離の確保・衛生ルールの順守、休暇期間明け・学校の新年度開始のこの時期から今後数週間は、特に注意が必要と呼びかけている。
在スイス日本国大使館・領事メール(8月24日)
ヌーシャテル州政府(フランス語)(8月19日)
https://www.ne.ch/medias/Pages/200819-covid-19-neuchatel-passe-en-jaune.aspx
8月20日発表、8月24日~12月31日までのバーゼル・シュタット準州の独自措置
使用の画像 : Pexels
8月20日、バーゼル・シュタット準州が発表した「新型コロナウイルス感染症予防の独自措置」は、次の通りだ。
1. マスク着用義務
(1) 販売店やショッピングセンターにおけるマスク着用およびレストラン(バー・クラブ・ディスコおよびダンスホールを含む)の従業員に対するマスク着用が義務化される。
※免除されるケース
・12歳未満の子供
・特別な理由(特に医療上の理由)でマスク着用ができない人
・特別な保護措置(仕切り板等)によりすでに感染予防措置が講じられている職場など
(2) 義務教育後の教育施設(ギムナジウム、職業学校など)において、施設内全ての場所でマスク着用が義務化される。教室内などにおいて、社会的距離(スイス連邦政府推奨 : 1.5m)が確保される場合はマスクを外すことができる。月曜日にマスクを忘れた場合には学校から提供される。
ただし、音楽の授業では、社会的距離を2.5m 確保する必要がある。
2. 適用期間
2020年8月24日(月)から同年12月31日(木)まで
バーゼル・シュタット準州政府は、今後、新型コロナウイルス感染症の状況が悪化する場合、マスク着用義務の適用場所を拡大する可能性について言及している。
在スイス日本国大使館・領事メール(8月20日)
バーゼル・シュタット準州州政府(ドイツ語)(8月20日)
https://www.coronavirus.bs.ch/nm/2020-coronavirus-erweiterte-maskenpflicht-im- kanton-basel-stadt-rr.html
ギムナジウム・職業学校などの教育施設で、施設内全ての場所でマスク着用が義務化は、バーゼル・シュタット準州のみだ。
とは言え、「社会的距離(1.5m)が確保できれば、教室でマスクを外せる」と言う規則は、首を傾げる人も多いはずだ。
8月24日発表、8月27日~9月30日までのチューリッヒ州の独自措置
使用の画像 : Pexels
8月24日、チューリッヒ州が発表した「新型コロナウイルス感染症予防の独自措置」は、次の通りだ。
1. マスク着用義務 : 飛沫による感染防止のため、全ての店舗・ショッピングセンター・市場の屋内において、マスク着用が義務化される。
2. 飲食店における連絡先リストの作成 : 感染経路特定のため、飲食店は、客の連絡先リストの作成(家族を含むグループ客の場合は、その代表者1人分の連絡先を把握)が義務づけられる。
3. 入場制限 : 全面着席形式の店舗を除く飲食店、バー・ディスコ・クラブ・ダンスホールなどにおいて、入場者数が同時に100人以内に制限される。屋外エリアを加えた全体の入場者は、同時に300人以内に制限される。
4. 100人を超えるイベントの開催 : 100人を超えるイベントについては、感染防止措置、1.5m以上の社会的距離の確保、またはマスク着用のいずれかが可能な場合にのみ開催可能となる。当該制限は、スポーツイベント・劇場公演・映画上映・コンサート・教会などにおける宗教儀式・ホリデーキャンプに加え、結婚式や誕生日会などの私的イベントにも適用される。
5. 適用期間
2020年8月27日(木)~同年9月30日(水)まで
在スイス日本国大使館・領事メール(8月24日)
チューリッヒ州政府(ドイツ語)(8月24日)
チューリッヒ州は、ジュネーブ州に比べ人口も多く、街に活気がある。
チューリッヒ州の6月末以降の感染状況を見ていると、次のように思う。
8月26日発表、8月28日導入のフリブール州の独自措置
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8月26日、フリブール州が発表した「新型コロナウイルス感染症予防の独自措置」は、次の通りだ。
1. マスク着用義務
(1)店舗およびスーパーマーケットにおいて、客(12才以上)および従業員(仕切板などの設置により感染防護措置が講じられている場合を除く)は、マスク着用が義務化される。
(2)店舗内のレストランやバーで着席する客は、マスク着用義務の対象外となるが、店舗の感染防止措置に従う義務がある。
(3)飲食店(レストラン・飲食を提供するイベント・バー・ディスコを含む)においては、従業員のみがマスク着用義務の対象となる。
2. 適用日
2020年8月28日(金)以降
※終わりの時期についての記載はなし
フリブール州政府は、今後新型コロナウイルス感染症のまん延状況が悪化した場合には、対策を強化する可能性に言及するとともに、市民の自己責任による社会的距離の確保、衛生ルールおよびマスク着用の遵守を呼びかけている。
在スイス日本国大使館・領事メール(8月26日)
フリブール州政府(ドイツ語・フランス語)(8月26日)
https://www.fr.ch/de/covid19/news/kanton-freiburg-verstaerkt-corona-massnahmen
この政策もスキありだが、「そこまで対策に本気にならなくてもいい段階」なのかもしれない。
8月28日発表、9月3日導入のソロトゥルン州政府の独自措置
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8月28日、ソロトゥルン州が発表した「新型コロナウイルス感染症予防の独自措置」は、次の通りだ。
1. マスク着用義務
(1)店舗及びショッピングセンターにおいて、全ての人にマスク着用が義務化される。
(対象例)
・生活用品店(パン屋・肉屋・ワインショップなど)
・靴および衣料品店
・スポーツ用品店
・花屋
・書店
・ガーデニングセンターおよびホームセンター
・家具店 ・薬局、ドラッグストアおよび医療関連機器店(眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器など)・ガソリンスタンド
・通信機器(携帯電話など)の販売店
(2)対象外の店舗
・屋外だけの店舗(毎週の屋外市場やキオスクなど)・サービス関連店舗(郵便局・銀行・旅行代理店など)
(3)マスク着用義務のない人
・12歳未満の子供 ・特別な理由(顔の怪我・極度の息切れ・マスク着用によって精神的不安を抱えるなど)で マスクを着用できない人(ただし、医師の証明が必要)・仕切板などにより、すでに感染防護措置が講じられている店舗の従業員
2. 適用日
2020年9月3日(木)以降
※終わりの時期についての記載はなし
在スイス日本国大使館・領事メール(8月28日)
ソロトゥルン州政府(ドイツ語)(8月28日)
次に、前述の各州の感染状況をお伝えする。
ヌーシャテル州、バーゼル・シュタット準州、チューリッヒ州、フリブール州、ソロトゥルン州各州の感染状況は?
使用の画像 : Pexels
ヌーシャテル州、バーゼル・シュタット準州、チューリッヒ州、フリブール州、ソロトゥルン州各州の感染状況は、次の通りだ。
ヌーシャテル州の8月末の感染状況
ヌーシャテル州の8月末の感染状況は、このグラフで見る限り、そこまで深刻な感じはしない。
バーゼル・シュタット準州の8月末の感染状況
バーゼル・シュタット準州の8月末の感染状況も、このグラフで見る限り、そこまで深刻な感じはしない。
チューリッヒ州の8月末の感染状況
チューリッヒ州の8月末の感染状況は、6月の半ば頃から増え続けている。
「マスク着用義務」の導入が8月27日。人口も多い都市なのだし、もうチョット早い時期に導入が出来なかったのだろうか、と疑問に思う。
ヌーシャテル州とバーゼル・シュタット準州に比べると、待ちすぎた「後出しジャンケン」感が強い。
フリブール州の8月末の感染状況
フリブール州は、数は大きくないように見えるが、短期間に感染者が増えている。
ソロトゥルン州の8月末の感染状況
ソロトゥルン州も、感染者数は大きくないが、対策しようとしている。
7月9日にも、人数制限の観点で「独自の措置」を導入している。
この記事は、連日、在スイス日本国大使館から届く情報とスイス連邦政府のサイトを元に作成。7月8日、在スイス日本国大使館から次の3つのお知らせが来た。・スイス北部、ドイツ語圏4州(アールガウ州、バーゼル・ラント準州、バーゼル[…]
7月末に早々と「独自の特別措置」を取ったジュネーブ州の状況は?
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7月末以降、増えるでもなく減るでもなく、横ばい状態だ。感染が増える要因が重なったら、ブワッと増える状況だろう。
横ばい状態なのは、7月末以降、多くの人が屋内の公共空間でマスクをしている結果だからだろうか?
ご紹介の写真は、8月26日のジュネーブの中心街だ。屋外ではマスクは義務でないものの、道でもマスクをしている人が増えた。
使用の画像 : RiyoBlog
8月24日から義務教育の新学期が始まったから、9月半ばにどう感染者数が変化するか見る必要がある。
私が住んでいるジュネーブ州は、第1波でスイス国内で1番感染が多かった。そのせいか、6月末ぐらいから再びジワジワ伸びている「第2波の予兆みたいな状態」に、ジュネーブ州は「後出しジャンケン」ながらも比較的パッと「独自の措置」を取ったように見える。
つまり、7月末にジュネーブ州は、今回ご紹介したヌーシャテル州、バーゼル・シュタット準州、チューリッヒ州のような「独自の措置」を取った。
7月末の時点で、人口に対して、新規の感染者が増えるスピードが速かったので、「後出しジャンケン」のようなスイスの「新型コロナウイルス対策」としては、妥当な感じだ。
この記事は、在ジュネーブ領事事務所からいただいた情報とジュネーブ州政府のサイトを元に作成。7月27日、在ジュネーブ領事事務所から次のお知らせを受けた。ジュネーブ州では、7月28日午前8時から、商業施設におけるマスクの着用が義務化[…]
8月17日に、ジュネーブ州は、「クラブなどのダンス用施設の閉鎖措置は、9月10日まで延期」と発表したりしている。
この記事は、連日、在スイス日本国大使館から届く情報とジュネーブ州政府のサイトを元に作成。8月17日、ジュネーブ州政府は、新型コロナウイルス感染症の対策について、追加的な措置や、これまでの措置の延長などを決定した。8月、ジュネ[…]
まとめ
使用の画像 : Pexels
本記事では、下記の順に、2020年8月末の「スイス各州政府による独自措置の公式発表」と「各州の感染状況」をご紹介した。
・8月19日発表、8月21日~9月30日までのヌーシャテル州の独自措置
・8月20日発表、8月24日~12月31日までのバーゼル・シュタット準州の独自措置
・8月24日発表、8月27日~9月30日までのチューリッヒ州の独自措置
・8月26日発表、8月28日導入のフリブール州の独自措置
・8月28日発表、9月3日導入のソロトゥルン州の独自措置
・ヌーシャテル州、バーゼル・シュタット準州、チューリッヒ州、フリブール州、ソロトゥルン州各州の感染状況は?
・7月末に早々と「独自の特別措置」を取ったジュネーブ州の状況は?
スイスでは、政策として導入される時は、感染者が出た後。
自衛して生活した方がいい。
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